動物鍼灸の起源

人による動物の家畜化が進むにつれ狩猟で殺して食するものから大事に育てたり病気を治して役に立てる共存する動物へ変わってきました。おそらく最初は薬草や鍼灸の元(石器)にのようなもので行われていたのではないかと私は推測しています。
チベット医学の聖典である『四部医典(しぶいてん)タンカ』チベット語では「ギュー・シ」と言い17世紀から20世紀にかけてまとめられています。紀元641年に中国との国交が正常化されてから急速にインド・チベット(吐番)・中国との文化交流がおきて双方の知識が集積されていったものと思います。
興味深いのはタンカ33には動物の補助薬物として野生動物の肉や臓器、骨や排泄物から死体の脳や植物の毒まで薬として描かれています。更にタンカ36には按摩マッサージの油や針で血を出す瀉血の道具から外科手術のメスまであります。

そして経絡・経穴の元になっていると思われるのがタンカ6と7に記載されている人体前後の瀉血部位です。またタンカ11と12にはのが「脈絡」といわれるものが記されておりタンカ14には「脈網」という正中線上にインドヨガのチャクラのようなものがお腹と背中に描かれています。さらにタンカ15には「白脈」という脳脊髄神経の分布のようなものが描かれておりデルマトームのようでもあります。富山県国際伝統医学センターのWebで見ることが出来ます。

四部医典タンカ(しぶいてんたんか)

富山県国際伝統医学センター

中国最古の医学書『皇帝内径(こうていだいけい)』

「鍼経」9巻と「素問」9巻があったと伝えられており、その後「素問」「霊枢」として編纂され現在に伝えられています。

中国では殷の時代には馬が農耕や荷物運びに使われていたという記述があり、周(春秋時代)の紀元前770年〜前403年頃は馬を兵車として戦争の道具として使われだし「馬医(ばい)」または馬医の祖「伯楽(はくらく)」が登場する。この辺りから動物の病気に対しても皮膚を切開して膿を出すとか火で焼いた針でツボを刺すなど外科的な治療方が行われていたのではないかと思います。

馬医

『有象列仙全伝』の中に書かれている「馬師皇」という仙人は黄帝の時の馬を針や薬で治していたという絵と説話があります。

『(司牧)安驥集抜書』という李石が撰した馬の医学書があり、五行や易経などの基礎理論が記載されています。
これが日本に伝わって獣医学の基礎になったものと思われます。

(司牧)安驥集抜書(しぼくあんきしゅうぬきがき)

京都大学附属図書館

そして伯楽が著したとされる『伯楽鍼経』(はくらくしんけい)も、馬医の専門書になっています。
韓国から入ってきたものに『新編集成馬医方・牛医方』というのがあります。『新編集成馬醫方(3巻)』は国書データベースで読むことが出来ます。

新編集成馬醫方(しんぺんしゅうせいばいほう)

国書データベース

こちらからも『新編集成牛医方』などを読むことが出来ます。
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ya08/ya08_00024/

新編集成牛医方(しんぺんしゅうせいぎゅういほう)

早稲田大学図書館

日本の獣医学

酒井蔵書の馬療辨解

馬療辨解(ばりょうべんかい)

国文学研究資料館
馬療鍼灸撮要

(万病)馬療鍼灸撮要(まんびょうばりょうしんきゅうさつよう)

著者名 泥道人/白酔 著
寛政12 富士川文庫
国書データベース
<<国立国会図書館と国立公文書館内閣文庫の公開資料について>>
※利用者登録(本登録)をすると、ご自身の端末等で「送信サービスで閲覧可能」となっている資料を閲覧することが可能になります。☆利用規約への同意が必要です。

獣医針灸 : 豚・牛・家禽の穴位と治療

著者 江西省動植物防疫検疫站 編 [他]
出版者 刊々堂出版社
出版年月日 1976
<現代語で説明されていて非常に分かりやすく読みやすい>

国立国会図書館

中国獣医針灸療法

著者 森谷信行, 安原茂 訳編
出版者 三景
出版年月日 1978.3
<経絡を人と対比した考え方を取り入れており獣医針灸の現状がよく理解できる>

国立国会図書館

古代より徳川期に至る獣医書の研究

著者 白井紅白 著
出版者 [大日本獣医学会]
出版年月日 [1942]
<現代語で書かれていて獣医学の歴史が分かりやすく説明されている>

国立国会図書館

漢方鍼医 : 鍼灸学術研究誌 6(2)(11)

出版者 漢方鍼医会
出版年月日 1999-12
<経絡治療研究会での馬の経絡図に関する話が紹介されている>

国立国会図書館

元亨療馬集(げんこうりょうばしゅう)

NfO1 目録,卷1
NO2 卷2
NO3 卷3,4
No4 附駝経
階層 内閣文庫漢書子の部
請求番号 子050-0017
人名 著者:喩本(明)
数量 4冊
書誌事項 刊本 ,清
利用制限の区分 公開
巻数 4巻元亨療牛集2巻後附1巻
旧蔵者 紅葉山文庫
<疾患別の治療法や補ていの仕方まで馬・牛・ラクダなどで説明>

国立公文書館内閣文庫